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演奏会・作品評

作曲家・三木稔氏 から藤田作品評が届きました。ここにご紹介いたします。

第3回を迎える『八ヶ岳「北杜国際音楽祭 HIMF」2008』は8月22日(金)から31日(日)まで行われた。 実は、私の親友で、その才能の全開を期待されながら数年前に亡くなった作曲家池野成の一番弟子であり、彼の死後、池野作品のコンサートやCD化に丁寧なプロデュース力を発揮した若い作曲家藤田崇文が、伊福部昭先生にも東京音大で習っていて、2度の伊福部昭音楽祭をやっているのを見て信頼し、今回HIMFのプロデュースに加わってもらった。
『 ルート38 』/ザルツブルク・モーツァルテウム弦楽四重奏団
今年の目玉、ザルツブルク・モーツァルテウム弦楽四重奏団の公演で、藤田崇文の新作「ルート38」は、彼の生まれた十勝の風土へのオマージュで、長くはないが広々とした時空を感じさせ、アンケートの支持も多かった。 このコンサートで藤田崇文の新作(「OTUKOH 2008」も同様)を聞いて、ハタと感じるところがあった。北海道、とくに釧路や十勝などの風土に育った作曲家は、むしろ欧米の作風こそが偽りのないアイデンティティなのだと。

今藤田は、東京の様々なオーケストラの作編曲仕事で目の廻る忙しさだと聞いているが、基となる欧米の曲に全く違和感がなかったら、自由自在に編曲の腕が揮えるであろうこと疑う余地がない。 私が若いときは、日本・アジアの作曲家として常に原曲への非同質性に悩まされ、編曲依頼はほとんど断り、映画やTV劇伴の仕事でも自由に創造できる職場を選んだ来歴がある。 しかし、上記2曲の、流れるように闊達な作曲法・楽器操作術を聴きつつ、目前の聴衆への幸せ提供がどうあるべきか真剣に考え込んだ。とにかくお客のほとんどには幸せな午後であった。

“Das Mozarteum Virtuoso Quartett Salzburg”/ photo (c) Naoko Nagasawa

『 OTUKOH 』 /野外劇場、雨が降り頻る最終日のクロージング・コンサート
藤田崇文作曲 ”OTUKOH" 。本当に救われたのは、藤田の曲がこういったシチュエーションに極めて強い作風だったことだ。 「常に途切れないメロディー、聴衆を引っ張れるリズム、安定した厚いオーケストレーション! 」 私たちの世代が、常に作家としてのレーゾンデートルに悩み続け、ヨーロッパの先行作曲家たちのスタイルに激しいまでの禁欲を守って壮年期を過ごして来たのと、なんという違いだろう。 自分の書く作風に彼は一切の疑いも持っていないのであろうとさえ感じつつ、しかし、私も聴衆も、まんじりともせず雨中で幸せに浸って聞き入ってくれた。

Composition&Conducted:Takafumi Fujita/”East&West ensemble”/ photo (c) ARSOA Corporation

『八ヶ岳 北杜国際音楽祭 HIMF 』芸術監督:三木稔 全文は「三木稔 HP」にも掲載
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